自動車メーカーステランティスがジープ・コンパスの計画生産をカナダから米国に移管すると発表したことを受け、カナダで最も人口の多い州の指導者は米国に対する経済報復を呼び掛けた。
オンタリオ州のダグ・フォード首相は、米国での製造能力を拡大する130億ドルの計画の一環として同社が今週、SUVの生産をオンタリオ州ブランプトンからイリノイ州に移転する決定を行ったことについて、ドナルド・トランプ米大統領を批判した。
こうしたコメントは、カナダが関税引き下げ交渉を行っている中で出たものである。トランプ大統領は米国の自動車大手3社に対し、生産拠点を米国に移転するよう求めた。
フォード氏は「あの男、トランプ大統領は素晴らしい人物だ」と語った。 「打倒されるのはもううんざりだ。反撃しなければならない」。
フォード氏は、マーク・カーニー首相がトランプ大統領と通商合意に達しなかった場合、カナダは関税で反撃すべきだと述べた。
カナダと米国の貿易を担当するドミニク・ルブラン大臣は今週、特定分野の関税引き下げを目的とした協議のためワシントンを訪れている。カーニー氏は先週、契約なしでワシントンを去った。
カーニー氏は、世界第4位の自動車メーカーの動きは関税の直接の結果であり、政府はステランティス社と協力してブランプトン地域に新たな機会を創出すると述べた。カーニー氏は、オタワはステランティスがブランプトンの労働者に対する約束を果たすことを期待していると付け加えた。連邦政府は同社に対して法的措置をとると脅した。
連邦産業大臣メラニー・ジョリーは、生産シフトは「容認できない」と述べ、ステランティスが多大な財政支援と引き換えにカナダでの生産を約束したと警告した。
ジョリー氏は同社の最高経営責任者(CEO)に宛てた書簡で、「その約束を履行できない場合は、合意に基づく不履行とみなされます」と書いた。
カナダの自動車セクターに何が起こるのかという懸念がオンタリオ州全域に広がっている。自動車はカナダにとって2番目に大きな輸出品であり、カーニー氏は、この部門で12万5,000人のカナダ人が直接雇用されており、さらに約50万人が関連産業で雇用されていると指摘した。
ブランプトン市長のパトリック・ブラウン氏はカナダ放送協会に対し、「ステランティスは米国への巨額投資の約束でトランプ政権に屈服している」と語った。
「これらのいじめ戦術がステランティスでうまくいけば、カナダに拠点を置く他のすべての自動車メーカー、そして率直に言って、米国が関心を寄せている他の分野でも同様のことが起こるだろう。」
ブランプトンにあるステランティス組立工場の労働者らは水曜日、雇用主からロボコールを受け、待っていた仕事は戻らないと告げられた。同社は2023年に工場を閉鎖し、施設再編に伴い約3000人の従業員を解雇する予定だ。
ステランティスは、米国のジープ生産を拡大し、同地で数千人の新たな雇用を創出するため、イリノイ州のベルビディア組立工場を再開すると発表した。
ステランティスは、オンタリオ州ウィンザーの組立工場に第3シフトを追加するなどカナダへの投資を継続しており、ブランプトン工場の将来について政府と協議中であると述べた。
カーニー氏はトランプ大統領の合併脅しや貿易戦争を背景に今年初めの大統領選で勝利したが、来年の自由貿易協定(FTA)見直しに向けて関係改善に努めている。カナダの輸出の75%以上は米国向けであり、カナダは最近、米国・メキシコ・カナダ貿易協定の対象となる製品に対する米国の関税免除に合わせて多くの報復関税を撤廃した。
フォード氏は、カナダは独自の厳しい措置でトランプ大統領の関税に対応し始めるべきだと述べた。
フォード氏はトランプ氏について「この男が理解できるのは彼だけだ」と語った。フォード氏は今週カーニー氏と会談する予定だ。


